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雑談のコツ〜雑談が苦手な方のための「インプロ的」対処法

私は、在月に数回ほど、沖縄県内の就労支援機関で「インプロ・セミナー」をやらせていただいています。

受講される方は、若い方から年配の方まで幅広いですが、多少のブランクを経て就労を目指している方が多いです。それで、インプロが少しでも、就労時や就労後のコミュニケーションや、自己表現の一助になればという思いでやっています。

参加者のみなさんに「就労で一番心配なことって何ですか?」とお聞きすると、けっこうな確率で「雑談が苦手で…」とおっしゃいます。お仕事そのものよりも、合間合間の雑談や人付き合いの方が心配なのかもしれません。

むむむ…この重圧を少しでも軽くできないものか…

雑談は義務じゃない〜なるべくしゃべらずに済まそうじゃないか

雑談とは、とりとめなくいろいろな話をすること、特にテーマを決めず気楽に会話をすることです。
ひとは雑談することで、ほどよく自己開示(自分の弱みも含めて他人にさらけ出すこと)ができ、そうするとお互いに、短い時間で警戒心が溶け、信頼感が増し、円滑な人間関係や共同作業に繋がるわけです。

が、この「なんでもいい」というところが自由なところでもあり、不自由なところでもあり。

苦手意識はどこからくるのか

就労セミナーでみなさんに、雑談のどんなところが苦手なんでしょうね?とお尋ねすると、

「何をしゃべっていいかわからない」

というお答えが多いです。
初めて会った人に、どんな話をするのが適切かわからない。
どう話し始めていいかわからない。そうですよね〜。

あと

「沈黙が気まずい」

という方も多いです。「何かしゃべってよと思われていないか焦って、余計話しづらくなる」とのこと。

伺っていると「必ず何かはしゃべらないといけないはず」という義務感や、「なんとかしてこの場にふさわしい話題を見つけなければ」というプレッシャーが感じられます。

どちらも「人にどう思われているかが気になりすぎる」ということが根っこにあるんですね。

なので、何か話題を捻り出してしゃべってみたらしゃべったで「この話題でいいんだろうか」と迷ったり、「つまんない話だと思われてないだろうか」と気に病んでしまうわけです。

「ちなみに、相手がずっと黙ってたら気になりますか?」とみなさんに聞くと、人によっては「怒ってないかな〜とか思います」とおっしゃいますが、半々で「今はしゃべる気分じゃないのかな、と思います」とお答えになる方もいます。

ね。なので、自分がしゃべらなかったとしても、半々の確率で相手は気にしないだろう、といえます。

そこで、元も子もないことを言いますが…しゃべりたくなかったら、しゃべらなくっていいんです。いや、本当に。

沈黙を恐れるなかれ

ちなみに私が高校生の頃のこと。よく同級生たちと休みのたびに「青春18きっぷ」で旅に出かけました。鈍行列車で関東から関西まで半日以上かけて移動してたんです。

そのころ、何かの本で「もし30分間、黙って一緒にいても気まずくなければ親友だ」というようなフレーズ読んで、いたく気に入りまして。あの頃って、そういうの好きですよね〜。

で道中、みんなして、あえてしゃべらずに過ごす、ということにハマってました。

もちろん、お互いムスっとしてるわけじゃなく、それぞれ本を読んだり窓の外を見たり、リラックスして過ごしてるわけです。


「沈黙」といっても「緊張した沈黙」とか「満ち足りた沈黙」とかいろいろあるわけで、その場にいる人たちの心持ち次第でガラッと変わります。どちらかが緊張してると、緊張が伝染し合って、気まずくなります。

なので、話すことがないし、話したくはないんだけど沈黙は気になる、という時は、まずはそっと深呼吸。眉間に皺が寄ってたらのばして「私は普通にご機嫌ですよ〜」というオーラを出してみてはいかがでしょう〜(心の中で鼻歌を歌うカンジ)。

たまたま目が合ってしまったら、急いでそらすのではなく、思い切ってニコッとか、ペコリとか、してみるのもいいかもしれません。沈黙を楽しむ、まではいかないかもしれませんが、それだけでちょいと空気が和らぐと思います。

しゃべらなくても会話には参加できる

もし相手が「しゃべるタイプの人」だったら、もう、しゃべるのは相手にお任せして、自分は聞き役に徹底する、というのがおすすめですね。

その時はぜひ、「いい聞き役」を目指してください。

いい聞き役のポイントは、

・相手を見る(できれば目は大きく開いて…好意的に見えます)
・程よい笑顔でうなずきながら聞く(ちょっと口角を上げる程度でOK)
・もしできれば「あぁ…」「ほぉ〜」「えぇ」など合いの手を入れつつ、表情に変化をつける(ちょっとでOK)

です。

自分がしゃべらないぶん、「私はあなたの言うことを、ちゃんと聞いていますよ」「興味を持っていますよ(←ここ重要)」とアピールしてみましょう。

これができたとすると、しゃべったのと同じくらい、いや、それ以上に「はずむ会話」に貢献できます。
いい聞き役に聞いてもらっていると、しゃべる方は気持ちよく、楽しく話すことができて満足します。

そしていい聞き役になれると、相手から信頼されます。
よりよい人間関係を作るためにも、「しゃべるのが苦手」という方には聞く練習をおすすめします。


もし「いい聞き方ってこれで合ってるの…?」「実際に確認してみたい」という方がいらっしゃれば、「インプロゆんたくらぶ」へどうぞ。
「インプロゆんたくらぶ」は、1回1時間、zoomでインプロのゲームを使っておしゃべりをする集まりです。

詳しくは下のリンクからどうぞ!

雑談は雑でいい〜練習はとことんハードルを下げる

「いやいや、なるべくしゃべらずに済ますんじゃなくて、話せるようになりたいんだ!」という方のために、各就労機関での「インプロセミナー」などで実際に取り入れている“練習方法”をご紹介します。

参加者のみなさんからは「地味に楽しい」「気持ちが解放された」「もっと言いたいことを言っていいんだなと思えました」といったご感想をいただいています。ご家族やお友だちがいたら、いっしょにやってみてください。

とりあえず思いついた言葉を口に出してみる

これは、インプロ(即興演劇)のウォーミングアップのエクササイズ「連想ゲーム」です。
いろんなやり方がありますが、雑談がニガテな方向けにアレンジしています。

たとえば、みなさんは「空といえば〇〇」の、〇〇のところにどんな言葉を入れますか?

雲、青、太陽、飛行機、虹、いろいろあると思います。
中には「虫」とか「宇宙」なんて人もいるかもしれません。
「眩しい」とか「暑い」なんて人もいるかもです。

なんでもかまいません、思いついたことを言ってみてください。

ふたりでやるとして

A 空といえば、飛行機
B 飛行機といえば、金属
A 金属といえば、バット
B バットといえば、野球

こんなかんじです。

A 空といえば、飛行機
B 飛行機といえば、落ちる
A 落ちるといえば、柿
B 柿といえば、韓国ドラマ

こんなんでもかまいません。

昔テレビ番組でやってた「マジカルバナナ」みたいなものですが、違うところは、「リズムに乗せなくてもいいよ〜」ということと、「間違いやアウトはないよ〜」ということ。

「柿で韓国ドラマって、なんで?」
「いや〜好きなドラマに柿を食べるシーンがあってさ」

なんていう、他の人にはあまりわからない繋がりがあるかもしれません。

それでいいです👍

がんばらない、ふつうでいい

もし「〇〇といえば…」の間に何も思いつかなかったら、頑張って考えなくてOK!

「韓国ドラマといえば…韓国ドラマ」

で返しちゃっていいですし、

万が一「クリプトビオシス」なんて知らない言葉をもらったら(笑)、音の響きからなんとなく思いついたことを返したってOK。

「トリケラトプス」とかね。
「歯にいい素材」とかね。


ゆめゆめ、がんばって「スゴいこと」「気の利いたこと」を言おうとしなくていいです!

ふと頭に浮かんだことを「こんなんじゃダメだ〜」と思わずに、口に出してみてください。

もちろん、相手が言った言葉に対しても「そんなのヘンだよ!」なんて言わないであげてくださいね。

なんでもOKで言葉を発しているうちに、
自分でも思いもよらなかった言葉が出てくるかもしれないし、
もしかしたら、ふっと忘れてた記憶がよみがえるかもしれない。

「もっとすごいこと」や「ちゃんとしたこと」「気の利いたこと」を言わなきゃ、というプレッシャーから解放されてみてください。

きっとお互い、自然に、普通に発する言葉が、「案外面白いね!」ってなると思います。

「話術」だの「気の利いた話題」だの気にしない

単語で連想するのに慣れたら、こんどは思いついたことを文章でしゃべってみてください。

オチも、意味も、笑いもいりません。
アタマに浮かんだことをただ言語化するだけ。

「綿棒」

「綿棒といえば…うちではいつも、プラスチックの容器に入ってる」
「綿棒といえば、最近、白いやつと黒いやつがあるね」

このくらいでOK。

もちろん、長くなっちゃってもOK。

「綿棒といえば、昔耳グサってやってすごく痛かったことがあって!あんまり痛くて泣いちゃったら、お母さんが…云々」

なんなら

「綿棒…では特に思いつくことはないな」

でもOK!

思ってもいないこと、言いたくもないことをムリに口にしなくっていいと思うんです。

たいしたことじゃなくても、つまんないことでも、自分が言いたいな、言ってみようかなと思ったことをまず口に出してみること。
そしてそれを味わってみること。相手とシェアすること。

これ、実際にやってみると、なんでもないことを言い合ってるだけなのに、けっこう飽きません。
“話芸の達人”じゃなくても、ふつうに話してるだけで、けっこう面白い。

話し終わったら、自分が話した中に出てきた言葉をひとつ、相手にあげてください。

「プラスチック」とか「白黒」とか。

何も思いつかなかった時は、パッと目についたものとか。

「じゃぁ…窓?」

「窓か〜、窓ね。あ、…」

「いい話題」なんてなくたって、何からだって、話し始めることができるんです。

練習は「安全な場所」ですることが肝心

そもそも雑談は、気軽におしゃべりすることで、安心感が得られたり距離が縮まったりする、というものです。

職場などではほどよい雑談によっていい関係が生まれ、何か困ったことがあったときにもサポートし合える土壌をつくることができます。

なので本来、がんばってムリをしたり、違う自分を装ったりしなくていいものなんです。

あと、楽しくおしゃべりをしている時には、オキシトシンなどの脳内ホルモンが分泌されて、脳や身体が活性化するそうです。


ですが時に私たちが生きている環境は、トゲトゲしてたり、シラーっとしてたりして、安心して自分を出すのが難しいかもしれません。

そうであれば誰だって、気持ちも身体も縮こまって、言いたいことも言えなくなります。

なので、もしあなたが雑談が苦手(でお困り)だとしたら、それはあなたのせいではないと開き直って、まず安心して自分を出せる場所…お互いに批判しあうことなく、違いを面白がったり認め合える場所で、言いたいことを言う練習をしてください。

「相手にちゃんと受け止めてもらう」という体験を経て自信がつけば、だんだんどこでも大丈夫になってきます。


でももし、周りになかなかそういうところがないんだよ〜という時には、いつでも「インプロゆんたくらぶ」に遊びに来てください。
1回1時間、オンラインで楽しくおしゃべりします。

詳しくは下のリンクをご覧ください♪
【インプロゆんたくらぶ】

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投稿者プロフィール

渡辺 奈穂
渡辺 奈穂
1989年より演劇を始め、俳優・演出を経て後進の育成に携わる。指導開始後ほどなくして、演劇体験がプロを目指す者だけでなく受講者の生活・人生を大きく活性化させることを痛感。2020年にオンラインレッスンをスタートし、子どもから大人まで、全国の幅広い年代の受講者へレッスンを届けている。

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